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2009.06.03 Wednesday | - | - | -
第二十二回 マラソン
(お題:「アロエ」「チャンピオンさん」「イムジン河」)

 ―2060年国際マラソン、いまスタートしました! 日本の鈴木も、いいスタートを切ったようです。彼は、前大会では、途中でアクシデントがあっての銀メダルと涙を飲み、悲しくてやりきれない思いをしました。
 はたしてこんかい、その悔しさを、晴らすことができるのでしょうか。それは、とりもなおさず、金メダルの獲得、優勝ということを意味します。
 そんな鈴木を応援しようと、日本からの応援も大勢つめかけています。その勇姿をおさめようということでしょう、ハイパーデジタルカメラを構えている人も多いです。一緒に沿道を走りながら、カメラを回している人もいるようです。
 
 そろそろ、10キロ地点になります。どうやら、先頭集団も固まってきたようです。鈴木も、その中にいるようだ。前大会の優勝者、サン・ステイヤーの姿もあります。そして、おっと、これは、なんとも。 
 一緒に走ってカメラを回していた観客の方、どうやら、スタート地点にいた人と同じ方でしょうか、服装が同じです。まだ、一緒に走っているようです。珍しいこともあるものだ。ここまでついてこられていることが、驚きでもあります。

 20キロ地点を過ぎました。先頭集団の人数も、かなり少なくなってまいりました。ここで、給水所が見えてきた、鈴木もどうやら水分補給をするもようです、アロエドリンクを手にした。
 前チャンピオン、サンは、息がわずかに乱れてきているようです。そして、驚いたことに、スタートからカメラを回している観客の方が、いまだに先頭集団にピッタリと張りついています。

 さあ、35キロ地点に差し掛かりました、正念場です。鈴木、そろそろスパートをかけるのでしょうか。ここで、集団から徐々に抜け出そうとしているぞ。頭ひとつ、抜け出しにかかっています。後続との差が開いていく。サンはついていけないのか、すこし苦しそうだ。
 そして、あの観客の人が、こちらも、いままで背負っていたリュックを、どうやら沿道の仲間に預けたようです。こちらも、ここでスパートということでしょうか。
 このリュック、遠目での確認ですが、ずいぶんと重いもののようです。この35キロ地点に至るまで、重いリュックを背負って走りながら、先頭に立つ鈴木選手をカメラで追っていたということになります、これは驚異的なことではないでしょうか。  
 ある意味、いま行われているマラソンよりすごいかもしれません。いま入った情報によりますと、各国のコーチ陣から、彼は何者だという問い合わせが殺到している、とのことです。

 さあ、ついに鈴木、スタジアムに入って来ました。もはや、後続とは1分以上の差がついております。金メダルは確実です。そして、気になるのは、あの観客。
 今回、沿道沿いは悪所も少なかったのでずっとついてこられましたが、スタジアムに一緒に入ってくることはできません。いったい、どうしたので……。
 あっ、あっ、あそこ、いま、観客席のたくさんの人たちを掻き分けて、前列のほうに出てきて、カメラを構えています、彼です。なんと、スタジアムの直前で別れて、観客用の通路から入ってきたもようです。
 しかし、先回りができたということは、その間、鈴木選手以上のスピードだったということになります。これはもはや、珍事というようなレベルではありません。
 はたして、彼は何者なのでしょうか。少なくとも、マラソンにおいて新記録を出しうる、いや、これまでのレベルを超えたポテンシャルを持っていることは、間違いがありません。あ、鈴木がいま、ゴールしました、優勝です。
 さあ、それよりも彼はどこへ行った?

 あっ、いました。さきほどの観客の方です。はたして、どのような方なのでしょうか。さっそく、聞いてみることにしましょう。ええ、すいません。

―はい、私ですか?

―はい。スタート地点から、カメラを持って走ってらっしゃいましたよね? 拝見したところ、相当な脚力の持ち主とお見受けしたのですが、お話をお伺いしてもよろしいですか?

―ありがとうございます。全世界のみなさん、ご覧になっていただけましたでしょうか? 私は、サニー社によって開発されました、最新タイプの人型ロボットです。
 ただいまご覧いただきましたように、私は2時間以上の激しい運動を継続でき、その後になっても、このように正確に会話をすることができる、画期的な性能を持っています。 ご参考までに、従来のタイプの弊社人型ロボットでは、走行状態に匹敵する運動は1時間が限度とされており、さらに、激しい運動の直後には通常の動作にも支障をきたす、などの問題点がありました。私は、その問題をはじめて解決したタイプとなります。もちろん、その他のさまざまな機能も、従来のタイプに比べ大きく改良されています。
 なお、私と同タイプの人型ロボットに関するお問い合わせ先のアドレスは、ただいまこの中継をご覧になっているみなさまに、一斉送信いたしました。1ヵ月後の発売の際には、ぜひお買い求めくださるようお願いいたします。
2006.10.01 Sunday | 第一回〜五十回 | comments(5) | trackbacks(0)
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コメント
イムジン河が
悲しくてやりきれないに
超訳されてますね。
| レオナール | 2006/10/03 10:56 PM |
力技でスイマセン。
ウィキにリンクするという細工もしてみました。
| 霞 | 2006/10/04 9:19 PM |
オチが星新一みたいで好きです
| to-ko | 2006/11/27 1:08 AM |
ありがとうございます!
また、たまにでも見に来てもらえたら嬉しいです。
| 霞 | 2006/11/27 8:34 AM |
またお題書くところわからなかったから、、、
ここに。

「病棟」「爪楊枝」「マイペース」  です。

お楽しみにです。
| 乳栗 | 2007/11/30 8:51 PM |
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